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TECHNOLOGY INFORMATION
技術情報
2019.9.30
研究開発
平滑Niめっき上の超高光沢Agめっきについて2
平滑Niめっきとは
平滑Niめっきとは、表面に凹凸のない、非常に平滑なNiめっきです。

前回、平滑Niめっきは超高光沢Agめっきの下地として有用であることをご紹介致しました。

下地のNiめっきが平滑な表面であることによって、高価なPd、Auの付着量を削減することができる、ということをご説明させていただきます。
Pd、Auめっきについて
■Ni上のAgめっきに必要不可欠な理由
LED用のAgめっきの場合、素材のリードフレームにはCuが用いられます。
Cuの上に直接Agめっきをつけると、CuがAgの中に拡散してしまい、光沢度が落ちるという現象が起きます。
Cuの拡散を防止するため、バリア層としてNiめっきをつけます。
Niめっきはすぐに強固な酸化皮膜を作ってしまうため、直接Agめっきをつけようとしても密着が悪く、剥がれてしまいます。
そこで、Niめっきの上にPd、Auめっきを薄くつけ、その後Agめっきをつけます。
すると密着よくめっきすることができるのです。
こうして、Cuの拡散を防ぎつつ、Niめっきの上にAgめっきをつけることが可能になるのです。

※注記
Niめっきの上ならAuめっきだけでも密着よくつけることができるのですが、その場合、Auの膜厚を厚めにつけなければなりません。
Pdあり → Au膜厚 約0.03μm
Pdなし → Au膜厚 約0.2μm
Auより高価なPdですが、薄くめっきすることで(Pdの膜厚は0.018μm程度)Auのみの場合よりコストを抑えることができるのです。


■Pd、Auの価格
PdもAuも貴金属です。ご存じの通り、両金属とも非常に高価です。

Auの価格は 約4950円/g
Pdの価格は 約5420円/g (2019年7月現在)

AuもPdも日々価格が変動しますので、今後もっと高くなる可能性はあります。
めっきに必要不可欠と分かっていても、できるだけ使用量を減らしたいものです。
平滑NiめっきによるPd、Auの削減
表面が粗いと、表面積が大きくなります。
よって、均等に膜厚をつけようとすると、表面が粗い方がより多くの金属分が必要となります。
ただ注意すべき点があります。
蛍光X線で膜厚を測定する際、測定されるのはコリメータ径の中に付着している金属量であるということです。
つまり、表面に均一にめっきの粒子がついていたとしても、径の中により多く金属が付着していると、膜厚が厚く測定されるのです。
上図の場合、平滑なNi被膜より、粗いNi被膜に付着しているPd粒子の量が多いので、膜厚が厚く測定されます。

では、同じ膜厚=同じPd粒子の付着量にするにすると下図のようになります。
粒子の大きさを一定であると仮定した場合の図になります。
表面積が大きい分、同じ金属量にしようとするとかなり隙間があいてしまいます。
これでは密着不良を起こしてしまいます。
まとめ
まとめると、以下になります。
①均一にPdをめっきした場合
 粗いNi被膜  → より多くのPdが必要。
 平滑なNi被膜 → 粗いNi被膜より少ないPdで足りる。

②膜厚を同じにした場合
 粗いNi被膜  → Pdで覆いきれず、密着不良の原因となる。
 平滑なNi被膜 → 均一に覆うことができる。

下地のNiめっきを平滑にすることで、粗い場合よりPd、Auの金属量を削減することができるのです。
また、粗い被膜より均一なPd、Au被膜をつけることができるので、より良い品質に繋がります。

平滑Niめっき上の超高光沢Agめっきにつきましては、少量試作を承っております。
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