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TECHNOLOGY INFORMATION
技術情報
2022.6.3
装置について
イオンミリング装置について
イオンミリング装置とは、試料の断面加工に使用される装置です。
走査電子顕微鏡(SEM)用の試料を作成する際に用いられます。

原理としましては、アルゴンイオンビームを照射して試料の原子を弾き飛ばします。
そうすることで試料のごく表層を削っていきます。

通常の機械研磨後に使用することで、試料のダレや表面の細かいキズを除去し、
より鮮明な断面を得ることができます。

長時間ビームを照射することで、深く削ることもできますし、ビーム照射の角度を
変えることで、エッチングレート差を利用した凹凸を強調した加工を行い、
結晶粒界やめっきの多層膜を観察することができます。
イオンミリング装置を使用した解析事例
イオンミリング装置を使用し、フクレの解析を行いました。

鉄入り銅材に銅ストライク、銀めっきを行ったサンプルです。
イオンミリング加工前では、銅と銅の間でふくれていることがわかります。
銅と銀の境目は見えますが、素材の銅と銅ストライクの境目は見えません。

イオンミリング加工後では、銅と銀の間に1層あるように見えます。
これが銅ストライク層ではないかと考えました。
素材の銅自体がふくれているようです。

より詳細な解析を行うため、SEMで観察してみます。
イオンミリング加工を行ったところ、ふくれた部分の銅と銀の間に層があることがわかります。
しかし境目はあまりはっきりしません。
各層をEDX解析した結果、ふくれている銅層から鉄が検出されたことから、
素材の銅材間でふくれていることがわかりました。

また、銅ストライク層かと思われた、ふくれた銅と銀の間の層からは
銅と銀が検出されたことから、耐熱によりできた銅-銀合金層ということがわかりました。

銅ストライクは非常に薄いため、銀と合金化して境目がうやむやになったようです。
まとめ
新たに導入したイオンミリング装置について紹介させていただきました。

断面での解析や、蛍光X線では測定できないめっきの膜厚測定などが、よりやりやすくなりました。

今後もこの装置を活用し、より良いめっきの生産・技術の向上に努めていきたいと思います。
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