銀-グラファイトめっきとは、銀めっきの被膜の中にグラファイトを共析させためっきです。
摺動した際にグラファイトが砕けて表面に広がることで潤滑性を持たせることができます。
詳しくはこちらをご参照ください。
銀‐グラファイトめっきについて
硬質銀めっきは、硬い被膜を持つ銀めっきです。一般的な純銀めっきの硬度が50~80Hvであるのに対し、
硬質銀めっきは180~200Hvとかなり硬いです。硬いことで擦り減りにくく、摺動する部品への
めっきに適していると言われています。
詳しくはこちらをご参照ください。
硬質銀めっき1、
硬質銀めっき2
どちらも摺動部品へのめっきに適していると言われますが、どちらが「摺動性」という点で優れているのかを比較しました。
サンプルの素材は銅板(100×67×t0.3mm ハルセル銅板)を使用。
それぞれのめっきの膜厚を5、10、30μmと振ったサンプルを作製し、テストに用いました。
下記条件で試験を行いました。
使用機器:荷重変動型摩擦摩耗試験 HHS2000 新東科学㈱
一定荷重:1,000gf(9.8N)
移動距離:5㎜往復
移動速度:50㎜/秒
相手材料:Cu(C1100)Φ10ボール、光沢Agめっき50~60μm狙い
試験の結果は以下のグラフのようになりました。
銀-グラファイトめっきは膜厚が厚くなるごとに摺動回数が増え、
5μmでは5,000回、10μmでは10,000回、30μmでは20,000回でした。
一方硬質銀めっきは、どの膜厚においても20~60回程度でした。
これは装置が過負荷のために緊急停止しています。
上記の条件においては、銀-グラファイトめっきの方が硬質銀めっきより
摺動回数が多いという結果になりました。
この2種類のめっきにはどのような違いがあったのか、試験後の摺動した部分を観察してみます。
銀-グラファイトめっきは摺動していく中で、最終的に素地である銅が見えています。
一方、硬質銀めっきではスムーズに摺動しいるようには見えず、引っかっているように見えます。
SEM画像で見てみると、銀-グラファイトめっきの方は左右に摺動した跡が見えるのに対し、
硬質銀めっきの方は盛り上がっているように見えます。
これは摺動した相手方(光沢銀めっきつき銅ボール)と凝着してしまっているのだと思われます。
凝着とは、二つの固体が接触または滑り合う際に、その接触面で圧力や摩擦熱により融合し、くっついてしまう現象です。
同じ元素同士だとよりくっつきやすくなります。
今回は相手方が「光沢銀めっきつき銅ボール」、硬質銀めっきには他元素が微量含まれますが
ほとんど銀なので、よりくっつきやすい組み合わせだったと言えます。
銀-グラファイトにおいては、被膜中にグラファイトが含まれ、摺動するとそのグラファイトが砕けて
表面に散らばり、相手方との間に入り込むことで銀同士の接触を減少させ、またグラファイト自身が
潤滑性を持つため、優れた摺動性を発揮します。
銀-グラファイトめっきと硬質銀めっきをつけたサンプルを用いて摺動性試験を行ったところ、
銀-グラファイトめっきの方が硬質銀めっきより摺動回数が多く、より摺動性に優れていることがわかりました。
摺動した箇所を観察すると、銀-グラファイトめっきは左右に摺動した跡が見えるのに対し、
硬質銀めっきはスムーズに摺動しているようには見えず、盛り上がっている箇所がありました。
これは相手方の銀めっきつき銅ボールと凝着し、表面の金属同士がくっついてしまったからだと思われます。
一方、銀-グラファイトめっきは、被膜に含まれるグラファイトが摺動する金属同士の間に入り込み、
直接触れる面積を減らしつつ潤滑性を与えるため、スムーズに摺動し、摺動回数が多くなったのだと思われます。
以上のことから、硬質銀めっきより銀-グラファイトの方がより摺動性に優れていることがわかりました。
金属同士が接触する、摺動する箇所へのめっきとして最適だと思われます。
銀‐グラファイトめっきつきましては、少量試作を承っております。
ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。