走査型電子顕微鏡(通称SEM・EDX)は、物質の表面をナノメートル~ミクロメートル単位で観察できる装置です。
めっきの粒子形状を確認したり、不良の解析などに使用します。
めっきをする上でなくてはならない解析機器です。
SEM・EDXを用いてどのように解析を行っているかについてご紹介します。
SEM・EDXの仕組みを簡単にご紹介します。
人間がモノを見る際、物質に当たって反射した光を網膜で受けます。その信号を脳で処理して像を見ています。
SEMでは、モノに対して電子線を当てて跳ね返ってきたエネルギー(二次電子、反射電子)を検出し、画像処理して像にします。
電子線は光の波長より短いため、ナノメートルレベルの非常に細かい像を作り出すことができるのです。
また跳ね返ってきたエネルギーを分析することで含まれる元素を調べることができます。これが元素分析(EDX)です。
SEMは光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープよりもはるかに高い倍率で画像を撮影することができます。
肉眼では当然見えない、めっきの粒子を観察することができます。
下の図は2つのニッケルめっきサンプルの表面を観察した画像です。
デジタルマイクロスコープの画像だと、それぞれのサンプルの違いがあまりわかりませんが、
SEMの画像だと、サンプルBの方に白いツブがあることがわかります。
このように、5000倍、10000倍の倍率で観察することで、わずかな粒子の違いを発見することができます。
めっきのムラ、色見の違いなどは、粒子の違いによるものであることもあります。
EDXを使用して、元素分析を行うことができます。
例えば異物が付着していた場合、その異物がどのような元素で構成されているものなのかを調べることができます。
下の画像は、銀めっきが一部茶色っぽく変色した部分を解析してたものです。
SEMで観察すると変色部分が黒く見え、元素分析を行うと、何もついていない正常部と比較して炭素(C)と酸素(O)が
多く検出されました。
炭素(C)が多いことから、油などの有機的な汚れが付着して変色しているのだと考えられます。
上記のように元素を分析できることから、元素ごとに色をつけてどの部分に何がついているのかを
色分けすることができます。これをマッピングと言います。
下の画像はハガレ部分をマッピングした画像です。
これは素材が銅で、下地にニッケル、最表層が銀めっきという製品です。
SEMで観察しただけでは色見はわからないのですが、マッピングして元素ごとに色を分けると
どことどこで剥がれているのかがよくわかります。
上記の場合は素材の銅とニッケルの間で剥がれていることがわかります。
前処理が十分でなく、ニッケルめっきの密着がよくなかったのかもしれません。
マッピングは断面の観察でもよく使用します。
めっきが層状に見えるので、ハガレやフクレの解析の役に立ちます。
下の図はフクレの断面を観察したところです。
フクレている部分には銅の塊のようなものがあり、素材自体との間にわずかに隙間ができています。
液や水洗水が隙間に入って後の工程で染み出し、めっきの析出が阻害され、密着の悪いめっきに
なってしまい、フクレたのではないかと考えられます。
SEM・EDXを用いた解析についてご紹介しました。
不良が出た際にはまずその部分の詳細な観察を行います。
目視や顕微鏡で観察するだけではわからないところを、SEM・EDXを用いて解析することで
様々な情報を得ることができ、たくさんのことがわかるようになります。
そこから不良の原因を探り、対策を打つようにしています。
不良の解析はもちろん、新たなめっき被膜の開発にも有用です。
粒子形状の違っためっきを開発することで、新しい効果をもつ表面状態を作り出すことができます。
最後に弊社で使用している機器をご紹介致します。
走査電子顕微鏡JSM-IT510